上顎前突
上顎前突とは

上顎前突とは、上の前歯が下の前歯よりも大きく前方に位置している状態のことです。正常な噛み合わせでは、上の前歯は下の前歯よりも2〜3ミリ程度前に位置していますが、この数値がもっと大きくなります。また、上の前歯が前に傾いていたり、上あご全体が前に出ていることがあります。
上顎前突になってしまう
原因

あごの骨の成長による影響
一番多い理由は、成長期の時期にあごの骨の成長のバランスが崩れることです。下あごの成長が足りなかったりすると、上の前歯が前に出て見えるようになります。骨格が原因の出っ歯は、歯の位置だけでなく、お顔全体のバランスにも関わってきます。
歯の生え方や向きの問題
上の前歯が本来の位置よりも前に傾いて生えてくることで上顎前突になることもあります。これは歯の問題で、骨格的には異常がない状態です。永久歯が生えてくるときに十分なスペースがなかったり、乳歯が早くに抜けてしまったり、歯が大きすぎてあごに収まりきらない場合も、前歯が前方に押し出されるように生えてきます。


小さい頃の癖による影響
舌を前に出す癖、唇を噛む癖などが長く続くと、前歯に力がかかり続けて上顎前突の原因になります。また、何かを飲み込むときや話すときに舌を前歯に押し当てる癖があると、だんだんと前歯が前に動いてしまいます。
口で呼吸をすることによる影響
鼻が詰まっていたり花粉アレルギーがあることで、口で呼吸をする習慣がついてしまいまい、お口周りの筋肉のバランスが崩れ、前歯が前に動きやすくなってしまいます。さらに、お口の中が乾燥して、虫歯や歯周病になりやすくなることがあります。

上顎前突の症状と特徴
見た目に関する症状
お口を閉じたときに上唇がひっかかり、唇が閉じずらいことがあります。また、口元が大きく見えることもあります。


食べることや話すことへの影響
前歯を使って食べ物が食べづらく、話すときの発音にも影響が出ることがあります。
上顎前突の治療法

軽い場合
前歯の突出が軽い場合は、前歯の部分だけを治す部分矯正で改善できることがあります。治療期間は3ヶ月から1年程度と比較的短い期間で終わります。透明なマウスピースを使った矯正装置を使うこともでき、見た目が気にならず取り外しもできるため、日常生活への影響を少なくできます。

中程度の場合
全体的な矯正治療が必要になります。透明なマウスピース矯正やワイヤー矯正があります。治療期間は1年半から2年半程度で、1~2か月に1回程度通院していただきます。奥歯を後ろに動かしたり歯と歯の間を削ることで隙間を作ってスペースを作ります。当院では患者さまのご希望に応じて、目立ちにくいインビザライン、カリエールや、デーモンシステム、シリコンブラケットなど最新の装置も取り扱っています。

複雑な場合
骨格の問題が大きい場合は、上の歯を抜く可能性が高くなります。成長期のお子さまの場合は、あごの成長をコントロールする装置を使って骨格的な改善を図ります。治療期間はお子さまの治療期間で1年半程度、大人の治療期間で2年から3年程度ですが、機能面と見た目の両方で大きな改善が期待できます。
しかし、他の歯科医院で「歯を抜く必要がある」と言われた患者さまでも、奥歯を後ろに動かしたり歯と歯の間を削ることで歯を抜かずに治療できる可能性があります。
上顎前突と似ている
歯並びの問題
上顎前突と似たような症状を示す歯並びの問題もいくつかあります。上下両方のあごが前に出ている状態や、歯がでこぼこに生えている乱ぐい歯、噛み合わせが深い状態、奥歯で噛んでも前歯がかみ合わない、歯と歯の間にすき間がある状態などがあります。これらの問題も矯正治療で改善することができますので、気になる症状がある場合は一度ご相談ください。
対象の診療

- マウスピース矯正
- ワイヤー矯正
- 小児矯正(11歳以下のお子さまの場合)